【福井県剣道道場連盟】10月24日(火)に「剣道体験・実践発表会 県予選会」開催 | 福井県剣道連盟

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【福井県剣道道場連盟】10月24日(火)に「剣道体験・実践発表会 県予選会」開催
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福井県剣道道場連盟は、剣道を通じて学んだことを作文で発表する「第46回中部地区剣道少年団研修会 福井県予選会 体験・実践発表会」を10月24日(火)、鯖江市の「鯖江市図書館 文化の館」で開催しました。福井県剣道道場連盟加盟の各道場から小学生の部5人、中学生の部2人が発表、同連盟の相模利朗会長ら7人が審査しました。
小・中学生各最優秀賞1名は、福井県道場連盟主管で11月25日(土)に敦賀市の敦賀市立看護大学 (福井県敦賀市木崎78-2-1)で行われる「第46回中部地区剣道少年団研修会」で発表します。
結果は次の通りです。

▽小学生の部
最優秀賞 中村将希(福井養正館、粟野南小学校6年)
優秀賞  向井結衣(敦賀市剣道スポーツ少年団、西小学校6年)
優良賞  出口咲希(敦賀剣道錬成館、松原小学校5年)

※右から最優秀賞の中村将希さん、優秀賞の向井結衣さん、優良賞の出口咲希さん

▽中学生の部 
最優秀賞 尾川一之進(福井養正館、粟野中学校1年)
優秀賞  濵野晃大(豊神館、鯖江中学校2年)

※左から最優秀賞の尾川一之進さん、優秀賞の濵野晃大さん


※体験・実践を発表された参加者全員

■小学生の部 最優秀賞

「じーじー」との約束

福井養正館 敦賀市立粟野南小学校6年 中村将希                                                                                                    

「じーじー、行ってきます。」
「天国から今日の試合を見てください。」
僕は、大会や錬成会に行く前に「じーじー」の写真に向かって必ず言う言葉です。僕が大好きだった「じーじー」は、一年半前の五年生になる前に、急に天国に逝ってしましました。あれだけ元気だった「じーじー」が突然の出来事でした。
僕の「じーじー」は剣道が大好きで、敦賀の剣道の発展に大きく貢献し、また、敦賀の保護者の皆さんが子供のために力強く応援できる組織を作った自慢の「じーじー」です。
僕が剣道を始める前から、
「早く剣道を始めて強くなれ!」
といつも声をかけてくれていました。小学二年生から剣道を始めると、会うたびに
「強くなったか?」
「まだか?」
「試合はいつや?」
と言ってくれていました。
小学3年生の市民剣道大会、級別の個人戦で初めて優勝することができました。大会長であった「じーじー」から賞状と優勝カップ、メダルをもらいました。
「うれしくて、うれしくて・・・」
表彰式のあと「じーじー」から
「もっと強くなって、レギュラーになり、団体戦で優勝できるようにがんばれ!」
と言われました。
学年が上がるにつれ、道場の稽古もきつくなり、試合にも勝てず、自分の気持ちが折れそうになった時もありましたが、自分に負けそうになった時は、「じーじー」に言われたように、
「団体戦でレギュラーになって試合を見てもらうんだ。」
と自分に言い聞かせ、厳しい稽古に打ち込みました。
お父さんからは、
「見えない努力をしない選手は絶対に強くならない!」
と言われ、自分なりにどうしたらいいのか考えました。
僕は保育園からスイミングスクールにも通っています。このスイミングの練習は必ず剣道につながると考え、トレーニングのつもりで一生懸命泳ぎました。それと僕のお父さんは毎日起きた後、鏡の前で竹刀を持って構えをチェックしている姿を小さい頃から見てきました。それを見て、僕も何かやろうと考え、朝起きて鏡の前で、バットと竹刀を持って素振りをすること決めました。
「一振り、一振り心を込めて」
朝の素振りは
「今日も一日頑張ろう!」
という気持ちになります。休日の朝早い出発の遠征の前も必ずやります。この素振りは3年間1日も欠かしたことはありませんし、「じーじー」の葬儀の朝、棺の横でもしっかり素振りをしました。
「じーじーが僕の剣道姿を見てくれる最後の日だ。」
そう思いながら必死に竹刀を振りました。
試合前、僕は心の中でじーじーにお願いします。
「2分間しっかり見ててね!」
今年の夏も日本武道館でレギュラーとして試合をすることができました。垂れの名札の中には、東京まで来ることができなかった「ばーばー」と天国にいる「じーじー」の写真を入れて試合に臨みました。結果は3回戦敗退
「まだまだ努力が足りない!」
「将希、もっともっと頑張れ!」
そうじーじーの声が聞こえた気がします。
僕は今日まで、多くの人に支えられて剣道を続けることができています。そんな中で、僕の一番の応援団であり、心の支えだった「じーじー」の死と直面し、
「時間は決して止められない」
という事と、
「命の大切さ。」
をあらためて知ることができました。「じーじー」もまだまだやりたいことがあったと思います。「じーじー」がいなくなって思うこと、それは、
「今やらなければいけないこと、今だから出来ること考え、今後の僕の剣道人生の中で大切にすること。」
それは「じーじー」がいつも言っていた言葉
「渾身満力」
の意味をなすところであり、「じーじー」が僕にくれた最高のプレゼントだからです。
「じーじー、本当にありがとう」
「じーじー 今日も行ってきます。」

 

■中学生の部 最優秀賞

「自信」

福井養正館 敦賀市立粟野中学校1年 尾川一之進

自分は剣道が一番上手いわけでもなく、足が特別速いわけでもなく、頭が特別イイわけでもなく、いたって普通だ。
そんな自分が昨年、この「剣道少年団体験発表」の道場の代表に選ばれてしまった。
「しまった」とは、自分は人前で話すことは勿論のこと、本を読むことが大の苦手なのだ。
「自分には絶対無理だ!」
と思った。
「本当に自分に出来るのか?」
半信半疑のまま自宅での練習がはじまった。
なかなか気持ちが乗らない。しぶしぶ原稿を見るが言葉が出てこない。文章が頭に入らない。そんな日々が続いた。
そんな中でいよいよ道場の先生との練習が始まった。覚えていない自分、発表しながら原稿を何度も見てしまう。先生からは
「全く覚えてないやん。まずしっかり原稿を覚えることからやりなさい。そうしないと何も始まらない。」
と言われるばかり。覚えなきゃいけない。
でも、覚えられない。一回覚えて、詰まって、また覚えて、の繰り返し。
「自分には無理かもしれない。」
と思った。しかし道場の先生は熱心に指導し続けて下さり、日が経つごとに、ほんの少しずつ覚えられるようになってきた。自分は嬉しくなったが、先生は
「まだまだ一字一句しっかり覚えないと、気持ちが入ってこないし、聞いてくれている人に何も伝わってこない。」
と指導してくださった。覚えることで終わりではなかった。その後も、先生は熱心に指導して下さった。先生から自分に対する思いも伝わってきた。「自分はもしかして、もっと頑張れるのではないか?」
自分が体験発表に向き合う気持ちが変わってきたのが感じられた。そこから、自分から家や下校の時も文章を覚える練習するようになった。
そして、気づくと自分は堂々と前を向いて話せるようになっていた。
それでも先生からは
「まだまだ足りない、それでは一之進の気持ちが相手に伝わらない。」
とのこと。
「そういう事か!」
言葉には意味があり、相手に伝えるには、一言一言に気持ちを入れて話すことが必要だと知り、家でもう一度作文の内容を理解し、一言一言に気持ちを入れる練習した。
感情をいれて話すことで、すごく気持ちが良かった。伝わることの嬉しさを知った。
そして、本番。
たくさんの人がいた。声が震えた。想像以上の緊張がおさええきれなかった。
発表をしていく中で、日々の練習が思い出された。緊張が解けて、会場の人たちが見えてきた。自分の方を見てくれている、うなづいてくれている人がいる。最後は大きな拍手をしてくれた。自分の言葉が伝わった感じがした。気持ちよかった。
そして、日々の成果が賞として形になって、すごく、すごくうれしかった。人との関わりが苦手だった自分が、学校で友達に、自分から話しかけれるようになって、友達からも話かけられるようになった。
そして、学校で発表があったり、役割を決める時など、自分の思いを伝えられるようになった。剣道の稽古でも、自分から仲間に声をかけられるようになった。声をかけることで仲間が声を返してくれて、自分の存在を感じれるようになった。自分に対しての自信を感じれるようになった。
「剣道少年団体験発表」から、自分を信じて努力することで、思いをつなげることが出来ることを学んだ。
自分を信じ応援してくれている、友達や仲間がいることで、自分の居場所があって、頑張れること。
自分を信じ指導して下さる先生方がいることで、自分の可能性を見つけることが出来るということ。
自分の体のことを、気づかってくれている家族がいることで、健康に過ごせているということ。本当にたくさんのことを学んだ。
今年またこの場に立っている。自分のことを信じてくれているひとがたくさんいる。そのことにあらためて気づかされた。
そして、今までの自分の中で、すごく頑張ったこの経験は、これからの自分にとって大きな力になると思う。
「今日、この場に立っている自信」
また一歩前へ・・・

※最優秀賞の尾川一之進さん(左)と中村将希さん(右)

 

 

 

 

 

 

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