「道」〜踏み出す勇気!千里の道も一歩から〜
私は社会人になってから剣道を始めました。今年で12年になります。子どもの頃はあまり体が丈夫ではなく運動が得意ではなかったこともあり、学生時代はずっと文化部に所属しており体を動かすことに縁のない生活をしておりました。ですので、我ながらよく続けられているなと思います。
剣道を始めたことにも続けられていることにも理由があります。小学生から高校生まで生け花を習っていたのですが、華道の奥深さ触れたことで「道」と名の付くものを修めることの面白さを知りました。華道が静の道だとするならば武道は動の道とも言えそうだという考えに至り、実際に習ってみたいと思うようになりました。
そんな憧れを持ったまま社会人になったある日、職場で「剣道を始めませんか?」という勧誘ポスターを目にしました。これが剣道を始めることになった直接のきっかけです。初心者かつ運動経験のない大人でも大丈夫だろうか?と不安を抱きながらも勇気を出して問い合わせてみたところ、見学させていただけることになりました。当日は見学だけのつもりでいたのですが、先生が竹刀の握り方を教えて下さり、手と足の動かし方も分からないまま初めて素振りをしたことを今でも覚えています。
それからは同じ時期に剣道を始めた小さな子どもたちと一緒に素振りをし、防具を着けるようになってからは、小・中学生に交じって稽古をしていました。子どもたちの成長は早く、背丈も私を越していきます。私も早く上達したくて一番多い時には週4日稽古に参加し、多くの先生に指導いただいたり自主的に素振りしたりしていました。ところが体の使い方や踏み込み加減が上手ではなかったのか、疲労骨折することが何度かありました。最近は、汗をかくような運動をすると全身に蕁麻疹が出ることや、瞼が腫れて視界が狭くなるということがあります。できるだけ予防をしていても起こる時は起こります。蕁麻疹は痒くて辛いし瞼は開かなくて不便だし顔が変わってしまってとても悲しい気持ちになるのですが、その時はもう仕方ないと思っています。
社会人になってから剣道を続けてきて思うことは、「試合に勝つことの上手さ」と「美しい剣道をすることの上手さ」と「人に剣道を教える上手さ」はそれぞれ違うということです。もともと運動が得意ではなく体も丈夫な体質ではない私だからこそ、指導して下さる先生の負担はいかばかりかと。もしかすると様々な道場へ出稽古にいって稽古に参加すること以上に、まず私に合った指導を受けられることが、私にとって大事なのではないかと思うようになりました。それが私の「道」ではないだろうかとも。
現在、先生も稽古仲間も私の体質を考慮して稽古の仕方を考えて下さることがとてもありがたいです。何度やっても習った通りにできなくても、いい打ち方ができたと思ったらまたすぐ悪い癖がでても、新しいことを一つ習ったら一つ前に習ったことを忘れてしまっても、感情的にならずに手を変え、品を変え根気強くご指導下さることに大変感謝しています。
一つのことを続けるというのは自分が決めたことでもありますが、そういう環境があるからこそ私は剣道を続けられているのだと思います。