最優秀賞 「中学生の部」に熊谷薩馬さん(福井養正館)、「小学生の部」に出口咲希さん(敦賀剣道錬成館)
福井県剣道道場連盟は、剣道を通じて学んだことを作文で発表する「第47回中部地区剣道少年団研修会 福井県予選会 体験・実践発表会」を2024年11月9日(土)、鯖江市の「アイアイ鯖江・健康福祉センター」で開催しました。福井県剣道道場連盟加盟の各道場から小学生の部6人、中学生の部5人が発表、同連盟紺屋嶋三津男会長ら9人が審査しました。
小・中学生各最優秀賞1名は愛知県剣道道場連盟主管で12月8日(日)に、中京大学豊田キャンパスで行われる「第47回中部地区剣道少年団研修会」で発表します。
結果は次の通りです。
▽小学生の部
最優秀賞 出口咲希(敦賀剣道錬成館、松原小学校6年)
優秀賞 荒木妃依(福井養正館、美浜東小学校6年)
優良賞 北嶋諒大(九頭竜武徳館、森田小学校5年)
敢闘賞 上塚尚汰(敦賀市剣道スポーツ少年団、角鹿小学校6年)
敢闘賞 淺野まどか(豊神館、豊小学校6年)
敢闘賞 河合浩義(金井学園ジュニア剣道教室、社南小学校6年)
※右から最優秀賞の出口咲希さん、優秀賞の荒木妃依さん、優良賞の北嶋諒大さん
▽中学生の部
最優秀賞 熊谷薩馬(福井養正館、三方中学校2年)
優秀賞 向井結衣(敦賀市剣道スポーツ少年団、松陵中学校1年)
優良賞 水野新大(豊神館、鯖江中学校2年)
敢闘賞 田中一織(小浜少年剣道教室、小浜中学校1年)
敢闘賞 宮下麗愛(金井学園ジュニア剣道教室、光陽中学校2年)
※右から最優秀賞の熊谷薩馬さん、優秀賞の向井結衣さん、優良賞の水野新大さん
■小学生の部 最優秀賞
人・・・ひと。
敦賀剣道錬成館 敦賀市立松原小学校6年 出口 咲希
「三誓願」
一 勉強します
一 剣道します
一 よい行いをします
これが私の道場の三誓願です。毎日けいこ前にみんなで言葉にします。言葉にするたびに「できているかな」「良い行いとは?」って考える時間です。私なりの三誓願もあります。
一 自分もみんなも大事にします
一 コツコツ努力します
一 いいなと思うことをします
です。
大事にするってすごくむずかしい。特に自分を大事にすること。人のことを思いすぎると、自分が後回しになったり、自分の気持ちにうそつきになる。その時は、一生懸命で分からないけど、だんだん苦しくなったり、合わせすぎて悲しくなったり、胸がギュッってなって、気持ちがパンパンになる。だから、最近は何か特別なことをするんじゃなくて、相手の気持ちに気づこうとしたり、寄りそったり、はげましたり、そばにいてあげることが優しいっていうことかなって思うようになった。そして、自分に対してもがんばってるねって言ってあげたり、さすってあげたりして大切にしている。
私は、コツコツ努力することは、正直苦手。宿題もパパって終わらせて遊びたい。でも剣道はそれではだめ。コツコツ積み上げていく。積み上げても積み上げてもできた気持ちにならないし、くずれていく気にもなる。だから、やる気をだすまでにすごくパワーがいる。お母さんに当たる時もある。ごめんね。でも、やりだすと楽しくなるし、努力するって後からきっと返ってくることも知ったから、苦手だけどがんばる。
いいなって思うことをする。私は先日すごい大人を見つけた。お母さんの車のまどに鳥のフンがついていた。それをガソリンスタンドのおじさんが素手で、そして爪でかいてとってくれていた。その時、おじさんは笑顔だった。人のいやがることを笑顔でできる。日ごろからゴミをひろったり、遊んだ場所はきれいにしてるつもりだけど、この人みたいに私できる…?できない…かも。見習いたい。これが良い行いなのかなって思った。
私は文字の中で「人」っていう字が好き。バランスがとりづらくて書くのはむずかしいけど、人と人とが支え合っているって聞いて、なるほどなって興味ももった。人にはバランスがあって近づきすぎても、遠すぎてもだめ。一人は孤独だけど、自由。仲間は成長させてくれるけど、孤独に感じる時もある。甘えてもたれすぎたら、相手はつらいし、絶妙な距離感を学ぶため、けんかしたり、仲直りしたり、出会ったり、近づいたりするんだなって思う。
剣道を始めて二年くらいの私。始めたころのある試合後、「おまえなんかに負けたわ」って嫌そうな顔で言われた。その時は、とっても悔しかった。今なら言われても全然平気。だってみんな仲間だから。道場が違っても寒い時も暑い時も遊びたい時もみんながんばっている。叱られて悔しい日もうまくいかなくてもやもやする日も、うまくできて嬉しかった日もみんな経験してる。だから、みんな…大切な仲間。同じ言葉でも知らない人に言われたらいやだけど、大切な仲間に言われても平気なのは、誰に言われたかのちがいで、相手との距離感の違いだと思う。たくさんの人がいるのに、出会うことで関わることで近くにも遠くにもいてくれる存在。宇宙の惑星や星みたいな感じ。くっつきすぎたらお互い燃えちゃうし、はなれてても協力したら星座にもなれる。
剣道でも、心と心の間合いをしっかりとって、剣先のふれあいを大切にします。自分にも人にもやさしい気持ちをこめて、今日も竹刀を交えます。
やあー!
■中学生の部 最優秀賞
剣道は人間形成の道
福井養正館 若狭町立三方中学校2年 熊谷 薩馬
僕は小さいころから剣道をしています。最初は「勝ちたい」「強くなりたい」という思いで剣道をしていました。でも、剣道は相手を倒す戦闘戦術から自らの心身を鍛えるものとなり、稽古や試合を通じ心身を鍛え、自分に打ち勝つとともに、相手への思いやり、礼儀を学ぶ「人間形成の道」とも呼ばれています。ただ「勝ちたい」「強くなりたい」と思うのではなく、「人間形成の道」ということを大切にしなければならないと思いました。
僕が剣道を通じて学んだことは、一つ目は「気づいて行動する」ということです。小学校までは、練習試合や大会に行っても、保護者の方々がスコアをつけてくれたり、たくさんのサポートをしてくれていました。ですが中学生に上がると自分たちで考えて行動しなければいけない場面が多く、自分たちで気づき、行動しなければいけません。日常生活や学校生活でもつながっていて、困っている人がいれば気づき、行動することができれば手助けをすることができます。まさに道場の先生が日々言ってる「風を読んで行動する」ということだと思います。
二つ目は、「礼儀」です。「人間形成の道」にも礼儀は欠かせません。礼儀とは、人の行動・作法による敬意の表し方で、剣道では最初と終わりに礼をするような敬意を表す作法のことです。江戸時代の儒学者、貝原益軒は、礼儀作法の大切さをこう記しています。
「人の礼法あるは水の堤防あるが如く。水に堤防あれば氾濫の害はなく、人に礼法あれば悪事生ぜず。」
これは、堤防が氾濫を防いでくれるように、礼儀が相手との摩擦の堤防になっているということで、礼儀が欠如してしまえば、争いが頻発し、犯罪などの悪事につながるという意味です。人間形成の道とはこういった社会のルールを守ることでり、たいせつなことでもあります。
三つ目は、仲間の大切さです。仲間と一緒に稽古したり試合に出場するということは、当たり前のことのようだけど、素晴らしいことで、「仲間のために頑張ろう」「仲間が頑張っているから頑張ろう」と思ったり、仲間が自分を成長させてくれ、仲間の声掛けがとても励みになります。
剣道はオリンピック競技ではありません。その理由は、勝ち負けだけではなく、礼に始まり礼に終わり、相手に敬意をはらって戦う武道だからです。剣道は勝敗のための技術を学ぶものではなく、剣道の理念を学び、剣道修錬の心構えを実践していくものだからです。
僕はこれからも剣道を通じてたくさんのことを学び、「人間形成の道」ということを忘れることなく、正しい人間になれるように頑張りたいです。
「剣道の理念」
「剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である」