滋賀国スポ 成年男子 東京都に0-2で惜敗
第79回国民スポーツ大会剣道競技会が2025年9月29日(月)~10月1日(水)まで、滋賀県湖南市の湖南市総合体育館で開催され、本県からは成年男子のみ出場しました。成年男子1回戦は30日(火)行われ、本県チームは東京都と対戦、善戦ながらも0-2で惜敗しました。
【成年男子】
先鋒 奥村龍也(参段、大阪体育大学4年)
次鋒 渡邊龍二郎 (六段、福井工業大学職員)
中堅 前田浩由 (七段、福井県警察)
副将 澤田泰治 (七段、中央中学校教員)
大将 小辻淳二 (八段、福井県立武道館職員)
▽1回戦
福井 東京
先鋒 奥村龍也 ーメ 大平翔士(四段、警視庁)
次鋒 渡邊龍二郎 ーコ 宮本敬太(六段、警視庁)
中堅 前田浩由 引き分け 遅野井直樹(七段、警視庁)
副将 澤田泰治 引き分け 権瓶功泰(八段、警視庁)
大将 小辻淳二 ドーメ 岡本和明(八段、警視庁)
※0-2で負け、1回戦敗退
■滋賀国民スポーツ大会を終えて
強化委員長(総監督) 堀江 範雄
昨年、初戦で開催県の佐賀県に5対0で完敗。あの悔しさ、辛さから1年、今年こそは絶対勝つぞと1月から毎週木曜日強化稽古会を実施しました。そして9月中旬に対戦相手が東京に決まり、「えっ!また東京?」と思いましたが、福井国体(2018年)、栃木国体(2022年)と対戦し敗戦していることから、今回こそリベンジしてやると強い気持ちを持ちました。
東京の選手は全員剣道界では世界レベルの超スーパースターばかりのオール警視庁チーム、腹を括りました。本県チームは大会前までに滋賀県、広島県、長野県の錬成会に参加して強化しました。今年の成年男子は「次の者に繋ぐ、各ポジションでの役割(任務)を果たす」をテーマに戦術が決まり、その結果チーム力が増し遠征先の練習試合でも大将戦で試合が決まるようになりました。
本県アドバイザーの佐藤成明先生からいつも指摘されていた「足を使え(動きを止めない)」「相手の竹刀に触れる(相手の動向を竹刀から感じる)」「中心を意識する(手元を上げない)」こと、更に故高橋俊昭先生からの「床を踏んでなんぼ(打ち込め)」「攻撃は最大の防御」を基本に、何度も指示して練習をしました。
大会当日、佐藤先生から選手を鼓舞して頂き、また私からはうちのチームカラー「試合の流れを読め、引き分けで良い、後ろへ繋げ、大将勝負や」と具体的に指示を出して試合に望みました。
先鋒の奥村龍也選手(大阪体育大学)は、先に行われました大学の関西大会で団体戦優勝し、調子は良く、勝利の流れを福井に持ってくることを期待しました。試合開始早々の立ち上がり、不用意にコテ技を出した訳ではありませんが前に詰めたところ、相手の大平選手が上からメンに飛び込み1本取られました。その後取り返しに技を出しますが、決定打がなく時間切れとなりました。
次鋒の渡邊龍二郎選手(福井工業大学職員)は中心を外さない剣道で得意の出頭メンを期待しました。相手は国士舘大学後輩の宮本選手であり、試合開始早々宮本選手がコテにきたところ渡邊選手は応じてメンを打ちましたが、勢いのある宮本選手のコテに旗が上がりました。残念でした。この後攻めますが相手は守りに入り時間切れとなりました。
中堅の前田浩由選手(福井県警察)はポイントゲッターで、遠征先の練習試合では勝利を収め今回も何かをしてくれると期待しました。前田選手は引き技等を果敢に繰り出しますが、相手の遅野井選手は無理をせずに上手く前田選手の打突を捌いて時間切れとなりました。
副将の澤田泰治選手(中央中学校教員)は絶対勝利が必要な場面です。戦術どおり足を使い、相手の竹刀に触れながら権瓶選手に立ち向かいました。体格では権瓶選手に劣らず勝ってましたし、これならいけると応援席からも「打て!」「打て!」との声援がありましたが、無情にも時間切れで引き分けとなりました。あと1本が出なかったのが残念でした。これで本県の負けがきまりました。
大将の小辻淳二選手(福井県立武道館職員)ですが、私と福井国体の強化で苦楽を共にした戦友です。八段も合格して今回私が絶対的な信頼をおいていた選手です。ですから他の選手には「何とか後ろに繋げ!」と指示しました。東京の大将は福井国体で対戦した岡本選手、リベンジで気合が入っていることは、アップの時から感じてました。顔色は青ざめ、基本打ちの順番は間違えるは、えっ!大丈夫か?・・・そこで応援の鈴木秀典先生に「大丈夫かな?」と話したところ、「5位入賞した鹿児島国体でもあの状態でしたから大丈夫です」と言われ、あれがいつも通りなんだと変に安心しました。結果は攻めの鋭さと切れの良さで岡本選手にメンを先行されましたが、その後返しドウが基本技の様に決まり、その後は時間切れで引き分けとなりました。堂々とした立派な試合内容だったと思いました。やはり期待どおりの試合ぷっりで、戦術は間違ってなかったと感じました。また、東京の選手の個々の能力には勝てませんが、チーム力の戦術では勝つことができると感じました。
今回の滋賀国スポ本県の成年男子は今年も初戦敗退、優勝は地元滋賀県、準優勝が東京で幕を閉じました。勝つことは並大抵な事ではありません。小さい県が勝つには、皆が一致団結して地道に稽古を継続すること必要だと思いました。その点を思うと1月から強化指定選手として稽古に参加してくれた皆さんに感謝いたします。ありがとうございました。今後ともご協力をお願いしたいと思います。来年は青森県で開催されます。来年こそは絶対に勝つために1回、1回の稽古に妥協しない覚悟です。来年こそは選手を決意している貴方!頑張ってください。やりましょう。私もやります!
大将 小辻 淳二
今年の国スポは、9月29日から3日間、「わたSHIGA輝く国スポ」のスローガンのもと、滋賀県の湖南市総合体育館で開催されました。福井県成年男子は、先鋒奥村龍也(大阪体育大学)、次鋒渡邊龍二郎(福井工業大学職員)、中堅前田浩由(福井県警察)、副将澤田泰治(中央中学校教員)、大将小辻淳二(福井県立武道館職員)の布陣で臨みました。毎週木曜日の強化稽古に加え、滋賀遠征、広島遠征、長野遠征と強化試合を重ね、チーム力が確実に上がり続けているのを感じました。強化試合のほとんどが大将戦で決まるというものでした。堀江総監督からも試合の流れを大切にすること、大将まで勝負を持っていくことを常々話されました。大会前の木曜日の強化稽古の時、「流れはあるけれども、それぞれいろんな思いを持って戦ってください」と話しました。
今年の国スポは、福井県のアドバイザーであった高橋俊昭先生が亡くなられて初めての大会であり、必ず勝つという気持ちを持って準備をしていきました。対戦相手は東京、オール警視庁のメンバーです。福井国体で対戦してから3度目の対戦となります。しかも大将は福井国体で対戦した岡本和明選手。こんな巡り合わせがあるのかと思いました。組み合わせが決まってからずっとわくわく感が止まりませんでした。今回の大会は、私の剣道人生において忘れられない大会になると心に決めて臨みました。
大会2日目成年男子第1試合東京戦。試合前に髙橋先生ならこう言うだろうなと思い、みんなに「負けたら、琵琶湖に〇〇〇ぞ!」と檄を飛ばしました。髙橋先生ほどの迫力が足りず、ややウケでした。茨城県から駆けつけてくださった佐藤成明先生が見守る中、試合が始まりました。
先鋒奥村対大平選手。初太刀で積極的に面小手をしかけたところに面を合わされました。目にも止まらぬ技の応酬は見応えがありました。次鋒渡邊対宮本選手。初太刀で小手に対して返して面を打ちましたが、その前の小手に旗が上がりました。国士舘大出身者同士の戦いは、重厚さが感じられました。中堅前田対遅野井選手(福井国体優勝メンバー)。一瞬の気の緩みも感じさせない試合でした。スピードを生かした攻撃と引き面で攻め立てましたが引き分け。副将澤田対権瓶選手。1勝を返し大将につなげるべく、強気で押し気味に試合を進めました。権瓶選手がバランスを崩す場面が何度もありましたが引き分け。ここで団体としての勝敗は着いてしまいました。大将の私は、攻め入ろうとした端を面に合わされてしまいました。対策は十分にしてきたため、その後も慌てることなく試合を進めました。そして中盤に出鼻面を引き出して返し胴を取り返しました。
チームも私も勝つことが出来ませんでした。髙橋先生はどう思っただろうか。天国から「まだまだやなぁ」と笑っている姿が目に浮かびます。そしてその後に必ず「これからが大事なんや。この経験を次に生かしていくこと。それが大事なんや!」と励ましてくれている姿も。次は東京に勝って、高橋先生に報告したいと思います。
今回は残念ながら1回戦で負けてしまいましたが、紙一重の勝負でした。素晴らしいメンバーで素晴らしい試合ができたのも、毎週木曜日に県立武道館に集まり、堀江先生のもとでチーム福井が一丸となって練習を積み重ねてきた、その切磋琢磨の賜物だと思います。福井県剣道連盟には大変お世話になりました。また来年に向けてよろしくお願いします。強化選手の皆さん、本当にありがとうございました。
副将 澤田 泰治
3年前に強化指定選手に選んでいただき、今年初めて本国スポのメンバーとして滋賀国スポに出場させていただきました。9月中旬に組み合わせが発表され、東京との対戦で、相手は警視庁の権瓶選手であることを知り、体が震えたことを今でも覚えています。権瓶選手は同世代の第一人者であり、私にとっては雲の上の存在でした。その日から、過去の自分の勝手な思い込みとの葛藤が続きました。そんなとき、私の支えとなったのは、生徒たちの存在です。目標をもって一生懸命に努力する生徒たちの姿に励まされ、いつも生徒に伝えている言葉を自分にも問いかけ、相手を上に見るのではなく、対等に、そして自然体で戦おうと、自分なりの答えを見つけて当日の試合に挑みました。当日は朝から緊張していましたが、頭の中は冷静でいることができました。そして中堅の試合が終わったとき、不思議と緊張がスッと治まり、落ち着いて試合に入ることができました。試合は大将につなぐための1本を取ることができずに引き分け、チームの敗退が決まってしまいました。試合後、チームの勝利に貢献できなかった悔しさが残りました。それとともに、この大舞台でどんな相手にも対等に戦うことができたことに誇らしさも感じました。自分の中に「次こそは」という強い念いが芽生えました。
実力も経験もない私を最後まで我慢強くご指導して下さった諸先生方、強化メンバーの一員として快く仲間に入れて下さった選手の皆様には、心から感謝しております。この経験を自分の成長に生かし、チーム福井に貢献できる選手になれるように精進したいと思います。本当にありがとうございました。