第21回 全日本選抜剣道八段優勝大会

行事概要
開催日
令和5年4月16日(日)
会場
枇杷島スポーツセンター
結果

全日本剣道連盟主催「第21回 全日本選抜剣道八段優勝大会」が2023年4月16日(日)、名古屋市の枇杷島スポーツセンターで開催され、で本県から出場した堀江範雄選手(教士八段、坂井地区)がベスト8に入賞しました。
1回戦は熊本県の栗崎敬一選手と対戦しコテ2本取り勝ち。2回戦は東京都の恩田浩司選手にメンの1本勝ち。3回戦は優勝した北海道の栄花直輝選手と対戦、延長でコテを取られ惜しくも敗れましたが、初出場でベスト8に入賞しました。

※詳細は全日本剣道連盟のホームページをご覧ください。

第21回全日本選抜剣道八段優勝大会に出場して

教士八段 堀江 範雄

本大会の前身は昭和52年より明治村剣道大会として、明治村「無声堂」で開催されていた剣道八段戦であり、平成14年より表題の大会と改名され、今年で45回を迎える由緒ある大会です。選手は全国より選抜された(50歳から65歳で八段取得後5年を経過)32名が、全国の剣道愛好家に試合を披露し剣道の真価を問うと共に、剣道に対する認識を更に深めようとするものです。
今回、正直まさか私が選抜されるなんて思ってもいませんでしたが、本県では相模利朗先生以来約10年振りであることから、大変光栄だと思いました。
私の稽古は週3回の朝稽古と武道学園指導、木曜日の国体強化稽古のみであり、1回の稽古時間も約30分程度です。ですから大会出場が決まってからはその短い稽古時間であっても、勝つという強い信念と覚悟を決めて、集中した中身の濃い稽古を心掛けました。内容はハード面ではすり足による基本打ちの徹底と、一足一刀の間合いからの連続打ち込みの実施、ソフト面では年齢的にも怪我をしないように稽古のやり過ぎない(やりたくてもやらない。疲れによる怪我防止)、新型コロナウイルス感染防止に気を配りました。また大会では頑張ると公言し、緊張感と責任のプレッシャーを自身にかけて臨みました。更に稽古だけでは自分を追い込むことは出来ないので、気を頂きに相模先生に稽古をお願いしました。先生からは「打ち急ぐな!我慢しなさい」と貴重なアドバイスを頂き大変勉強になりました。また、気を練るために川野先生にも大会前日まで稽古をお願いしました。そして不安と緊張を持ちながら大会を迎えました。
大会前日、審判、選手打合せ会議があり、会長からは「この大会はYouTubeにより全世界に配信され、皆さんの試合が模範となり剣道界を左右するという大変重要な使命がある。よろしく頼む」と言われ、緊張が更に増しました。
大会当日、緊張しながら会場に入り一礼し顔を上げると、観客席の中央最前列に見たことのある顔ぶれ(武道学園の先生方)が目に入り、「あじゃ~これは負けられん!」と緊張はマックスに達しました。
試合が始まり、1回戦は熊本県の栗崎敬一先生(元教員)でした。立ち上がりに相模先生からの「打ち急ぐな!我慢」を思い出し、一度打ちに行こうと思いましたが、まだだと行かずに我慢をしました。それから程なく一足一刀まで入り、ひと仕事をしてから勝負をかけて初太刀をコテに打ったところ1本となりました。1本が決まった瞬間、当たった!なんか会場がうるさいなと思いました。それから2本目のコテも同様な感じになりました。礼をして戻りましたが、「うわ~勝った!」と久しぶりの喜びが湧き上がるのを感じました。栗崎先生は私みたいにガチャガチャしなくて、どっしり構えで正統派の大変素晴らしい剣道をされる方でした。
2回戦は東京都の恩田浩司先生(元警視庁剣道師範)、過去本大会や色んな全国大会でも優勝されており、全国警察官大会では警視庁で大阪府警等と優勝を争われ、私としては遠い存在であり憧れの先生でした。そんなことですから、緊張よりこのような素晴らしい先生と試合ができることが嬉しくてワクワクして試合に臨みました。
試合は恩田先生からかなりの重圧を受けながら、私も負けじと我慢をしていたところコテが来たので、遅れたと思いましたが返しメンを打ったところ決まりました。後は我を忘れて虎の子1本を死守し終わりました。憧れの先生に勝てて嬉しく思いましたが、こんなに体力的、精神的に辛い試合はもうしたくないと思いました。
3回戦は北海道の栄花直輝先生(現北海道警察剣道師範)、言わずと知れた剣道界スーパースターで、正直延長3回まで戦うなんて思ってもいませんでした。前に出て攻め続けようとしましたがガードが堅くなかなか打つチャンスもなく、やはり実力の差で相手の攻めに私の手元が上がりコテを打たれてしまいました。最後には根気が負けしてしまったことが敗因であり、勝つためには明日まで試合をやってやるくらいの強い気持ちが必要であると感じました。しかし、少しはやれる自信はつきました。
試合が終わり、先生方、同僚、後輩からは「良くやった!」と、労いとお褒めの言葉を多く頂きましたが、国体のアドバイザー高橋俊昭範士からは、「手元が浮いていたじゃないか!もっとしっかり稽古しなさい!」と、厳しい言葉と叱咤激励を頂きました。「そうだ、こんなところで喜んで満足している場合ではない。まだまだやらなければならない」と改めて思い、胆に銘じた次第であります。
本大会に出場して本当に良い勉強をさせて頂きました。今後は今回の反省点を活かして更なる高みを目指し、精進して参りたいと思っています。今後とも皆さんのご指導ご鞭撻よろしくお願いします。最後に応援に来て頂いた先生方に感謝申し上げます。また「動画のliveで見たよ」と声をかけて頂き大変ありがたく思っています。重ねてお礼申し上げます。ありがとうございました。