(一財)福井県剣道連盟創立70周年記念「福井県知事杯 第20回福井県剣道選手権大会」

行事概要
開催日
令和5年7月17日(月)
会場
福井県立武道館
結果

福井県剣連は「(一財)福井県剣道連盟創立70周年記念 福井県知事杯 第20回福井県剣道選手権大会」を2023年7月17日(月・祝)、福井県立武道館で開催した。県内各地区剣道連盟および団体から選出された代表選手男子34人、女子21人が出場し、男女別トーナメントで競った。男子の部は林田匡平選手(学剣連)が3年連続5度目、女子の部は大西ななみ選手(学剣連)が5大会連続5度目の優勝を飾った。林田選手は11月3日(金・祝)東京の日本武道館で開催される「第71回全日本剣道選手権大会」へ、大西選手は9月3日(日)奈良県橿原市のジェイテクトアリーナ奈良で開催される「第62回全日本女子剣道選手権大会」への福井県代表選手としてそれぞれ選考された。
試合結果は以下の通りです。

▼男子の部
優勝  林田匡平(学剣連) ※全日本選手権大会出場は4年連続6回目
2位  山﨑由樹(県警察)
3位  内田駿哉(県警察)
3位  田中大志(県警察)

▼女子の部
優勝  大西ななみ(学剣連)※全日本女子選手権大会出場は6年連続9回目
2位  梅原陽乃(越前地区)
3位  牛嶋いつか(福井地区)
3位  石井心(福井地区)

福井県知事杯・第20回福井県剣道選手権大会  講評

審判長 堀江 範雄
今年も全日本剣道選手権大会(男女)出場の一枚の切符を取得するため「福井県知事杯・第20回福井県剣道選手権大会」が県立武道館で開催されました。今年の大会は新型コロナウイルス感染症の前に近い状況で、久しぶりに有観客で行われ大変盛り上がりのある大会でした。正面の審判長席から見る景色も、観客に人が居ることになぜか懐かしさを感じ、またこれで剣道の魅力を伝えることができると大変嬉しく思いました。
大会の出場選手等の紹介については、県剣道連盟のホームページを見て頂ければお分かりであるのでここでは省略させて頂きますが、昨年より出場選手が増えたことは大変喜ばしいことでありました。
開会式では、大会長である片山会長から「新型コロナ感染症が5類になり、剣道もようやくコロナ禍前の状況に戻りつつ大変喜ばしいことであります。皆さんはこれから剣道を益々盛り上げて頂きたいと思います。本日は剣道の頂点を目指して頑張ってください」と選手を鼓舞する様な挨拶がありました。更に来賓挨拶として猪嶋宏記県文化スポーツ局長様から「過去全国大会において林田選手が準優勝に輝かれたことは大変喜ばしいことであります。是非今年も本大会では良い成績を残せるよう期待をしています。本日はその本県代表者を決める大会であります。頑張ってください」と激励の言葉がありました。
今回の試合も「新型コロナウイルス感染症が収束するまでの暫定的な試合、審判法」によるものであり、試合前には審判員が再度意思の統一を図るために打ち合わせ会議を行いました。
今回の試合を観ると、全体的に鍔迫り合いの反則が目立ち、その反面鍔迫り合いからの引き技が1本となっていました。選手は審判規則を理解していないところがあるのではないかと感じました。

【女子】
今年も連覇を狙う大西ななみ(学剣連)を阻止する者は誰かが注目されたが、結局大西選手を負かす者は現れませんでした。大西選手の強さを改めて感じました。
ベスト4には大西ななみ(学剣連)、牛嶋いつか(福井地区)、石井心(福井地区)、梅原陽乃(越前地区)の教員と大学生が勝ち残り、準決勝戦第1試合は大西選手が足捌き良く牛嶋選手に勝利し、第2試合は梅原選手が鋭いコテを決め石井選手に勝利してそれぞれ決勝に進出しました。
決勝戦は大西選手と梅原選手という3年連続同じカードで師弟対決となりましたが、大西選手が先々の先で主導権を握る試合展開となり、メンの1本勝ちで勝利を掴みました。相手との間合い明るく、貫録勝ちと言っても良いでしょう。敗れはしましたが、梅原選手は打突に鋭さと力強さがあり、昨年より実力を上げたと感じました。次回を期待したいと思います。

【男子】
全日本選手権大会で優勝を狙う林田匡平(学剣連)は、まずこの予選会を突破ければならないという相当なプレッシャーを感じて大会に臨んだと思います。また、他の選手も今年こそは自分が全国大会に出るという意気込みを感じました。しかし蓋を開ければ林田選手の圧勝の結果であったと思います。
ベスト4には林田匡平(学剣連)、内田駿哉(警察)、田中大志(警察)、山崎由樹(警察)と昨年同様、教員と警察官が勝ち残りました。
準決勝第1試合は4月から機動隊の剣道特練員となった若手の内田選手と林田選手の試合となりましたが、格の違いを見せつけた林田選手が2本勝ちにより圧勝しました。第2試合は同門、警察官同士の山﨑選手と田中選手の試合となりましたが、山崎選手が先輩の貫録でコテの1本勝ちで決勝に進みました。
決勝戦は初めての山﨑選手と連覇を狙う林田選手となりました。山﨑選手は過去林田選手をもっとも苦しめた選手であり、今回はどうなるかと思っていた。試合は最初こそお互い様子を見ながらの試合展開でしたが、山崎選手が打ち余したところを林田選手が素早くメンを打ち1本が決まりました。2本目は開始早々迷うことなく素早くメンを決め連覇、5回目の優勝となりました。林田選手はしり上がりに本領を発揮して技が冴え、全ての試合に2本勝ちを収めました。大会前には全剣連の強化訓練も参加しており、その影響か、好調さがうかがえました。

【総括】
試合を観て、鍔迫り合いからの反則が多かったり、鍔迫り合いからの引き技に旗が上がったりしたことは、審判員が試合・審判規則を勉強してより正しく審判を行ったからであると思います。決して審判が厳しいのではありません。選手また指導者等の方が勝手に理解していたのではないかと思います。もう一度しっかり勉強して理解し、試合に臨んで頂きたいと思います。
また選手の中には試合開始早々受けから入いる人が多いと感じました。防御しながら、手元を上げて、受けながら攻めている感がありました。手元が上がりそこから技を出しても1本にはなりません。試合で1本になるのは、最後には真っ直ぐ打突している時です。一番早く打てるのは、剣先が中心にあることです。あと試合は先々の先でないと勝てません。攻めがあるから前に出る、返せるのです。もう一度基本に戻り、稽古することを勧めします。
今回印象に残った試合で大学生の梅田隼仁(福井地区)が林田選手に打ち込んだメンで、1本ではありませんが気迫があれば1本になる技であり大変惜しいと感じました。それと西川航平(学剣連)の捨てきったメン、初戦で先に1本先取されましたが最後まで諦めず、切れはあまり良くありませんでしたが一足一刀の間合いから豪快にメンに飛び込み1本を決めました。そして勝負となった次も豪快に思い切り同じメンを出し勝利。捨てきる勇気、この勇気は我々もまた、教え子も見習うべきであると感じました。
閉会式では相模副会長から本年度全日本剣道選手権大会に出場する林田匡平、大西ななみの両選手に対し「全国大会では優勝の二文字しかない。大会まで孤独で苦しいと思うが、しっかり耐えて本番では頑張ってほしい」と熱い激励のお言葉があり幕を閉じました。本当に万全で本大会に臨んで頂き二文字を願いたいと思います。健闘をお祈りいたします。
私は、剣道は環境が整ってないから勝てないとは思っていません。自分がどのような環境であろうとも、今やれることは何かを考えてそれを実行すれはることが大切だと思っていいます。自分で時間をつくり、場所を探し、稽古をお願いすることが大切だと思います。そこに強さが生まれてくると思います。あのコロナ禍の頃と比べてください。ようやく剣道ができることに感謝したいと思います。
最後に、大会の運営にご協力いただいた各地区連盟、審判員、係員及び選手、特に事業部員のご尽力に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
もう来年の大会は始まっていますよ。